西 悦子
西 悦子
ガラス造形家
「国際ガラス展・金沢2022」が15回目を迎えられたこと、お祝い申し上げます。
本展の開催委員会の皆様のご努力や熱意に心から敬意を表します。
今回も一次審査に関わり応募者作品を観る、貴重な場を与えられた事を感謝しております。
世界的なコロナ禍の中、応募者が減少するのではと危惧しましたが、それほど減少しなかった事に安堵いたしました。
現代の傾向により、動画の応募もありました。新しいアプローチを感じましたが、動画を使わなければ表現できない必然性があるのかどうかに着眼点をおき審査しました。入選した作品はどれもガラスの素材としての特性を単に活かすだけでなく、技術目的と美的目的の相乗効果で、より洗練された作品が多いと感じました。ベテラン作家達が新しい方向性を見つけ、それを作品のレベルまでに引き上げ、新たな境地の作品を制作している事にエネルギーを感じました。
と、同時に20代・30代の若い作家達の入選も1/3あり、ガラスアートの未来に期待しています。審査する上でまずは作品を見てワクワクするかどうか? その根底の技術の確かさ、表現の独創性、展開性、その上に主観も入ります。総合判断と作品数の制限があり入選から漏れてしまった作品の中にも素敵な作品もありました。今回入選を逃したとしてもどうぞ応募を継続して頂きたいと願っております。
今年はロシアやヨーロッパからの応募が減少している事に世界的な情勢の変化を感じます。しかし作家は創作する喜びや楽しみを常に感じています。周りの環境が変わっても創作意欲は失われないと信じております。
最後に2022年は国連で「国際ガラス年」と定められ、科学とアートの両方から世界各地で展覧会や講義が行われています。日本でも12月のクロージングセレモニーは安田講堂で講義と3Fの回廊でガラス展が開催されます。是非とも科学者や企業の方々にも「ガラスアート」の素晴らしさ、可能性を感じて頂きたいと願っております。