西 悦子

西 悦子

ガラス造形家

国際ガラス展・金沢の審査に携わり、世界中の応募作品に触れる事が出来た事を感謝します。時代の流れに押し流されず、金沢市において揺るぎなく国際ガラス展・金沢が開催されている事に敬意を表します。また、ネットによる応募が可能になり、事務局は締切の最終日近くに応募が殺到してご苦労があったのではないかと思います。

今回、アジアからの応募も多くありましたが、ヨーロッパからの応募が増えているのは、この展覧会の意義がさらに広まっているからだと思います。そうした応募作品を通じて、特に感じた事が2点あります。1点目は、何かしらFigurativeな作品の応募が以前はありましたが、今回は日本、海外とも非常に少なかったように思います。人的なモノをモチーフにせずに、ガラスの他素材にない特異性、不思議性、面白さ、美しさ等々を引き出した、或はそこに-思い-を込めた作品が多かったように思います。素材への理解がより深まった作品が多かったと思います。

2点目は、以前から入選されている作家達が今回とても新しい展開をされている、教育機関を卒業して間がない若い作家達、それら両方の作家達が賞に輝いているのを思い、ガラスアートにまだまだ将来への展望を強く感じ、それ故観る者に新しい発見、可能性、今後への期待、そんな気持ちを起こさせてくれました。

最後に、画像で審査を行う1次審査時に作品の良さが出ておらず、とても残念だと思う写真がありました。自分の作品の「何処をアピールしたい」「どう見せたい」「照明は」「バックの色は」等々を作家は撮影時に考え、工夫すると思います。それは自分の作品をよく知っているから出来る事で、知らなければ出来ません。

今後、応募される時は、自分への自戒も含めてですが、「画像がよくない」といけないように思います。

 

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