国際ガラス展・金沢2004
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概 要審 査受賞作品審査員のコメント
COMMENT
審査員のコメント
イジィ・ハルツバ
今回、初めて審査員としてお招きいただき感謝している。金沢でこのような素晴らしい展覧会が開催されていることに、心より敬意を表する。
全体的に、極めて高いレベルで作品がまとまり、驚いている。特に大賞には、こんな表現もあるのかと「あっ」と驚かされた。
素材や技術の追求に加え、作り手が「何を表現しようとしているのか」本当に様々なアプローチがなされており、一つ一つの作品を見て、考えているだけで、いくら時間があっても足りない。
まだまだ賞をあげたい作品が沢山あったが、新しい創作の方向性を予見させる素晴らしい内容だったことを心より嬉しく思っている。
イジィ・ハルツバ氏
イジィ・ハルツバ(ガラス造形家・チェコ)

ヨーン・スコーウ・クリステンセン
ガラス造形の魅力には、熔けた素材を時間と重力に負けないうちに一瞬で形にする瞬発力のようなものと、冷たく固くなったガラスを長い時間かけて加工する忍耐力のようなものがある。
そしていろんな技術を組み合わせることにより、その魅力は限りなく高まる。
そして、そこに、何を表現しようとしているのか、作る方も見る方も考えさせられる魅力がある。
この展覧会は、そうしたことを考えさせるものである。私も様々な展覧会を企画し、世界のいろんな人の作品を見てきたつもりだが、今回、初めて審査員として参加させていただき驚いたことは、日本の人たちの作品の質の高さだ。
現代的でありながら、何故か日本という歴史や文化の蓄積を感じさせる。美術や工芸には「こうでないといけない」というものはない。ますますの広がりを期待している。
ヨーン・スコーウ・クリステンセン氏
ヨーン・スコーウ・クリステンセン(ガラス評論家・デンマーク)

ジョエル・フリップ・マイヤー
今回の展覧会では、アメリカやオーストラリアの人たちが沢山応募したのに、第1次審査で全員が姿を消した。若い人たちばかりだったのか、力のあるベテランが出さなかったのか分からないが、とても興味深いことだった。
そうした中で日本の若い人たちのチャレンジ精神と創造性の追求の幅の広がりは素晴らしい。
全体に、シンプルな吹きガラスから難しい技術を駆使した作品までバラエティに富んだ作品が集まって嬉しい。
ガラスという固い素材の中で様々な詩的な表現があり、哲学的なアプローチがあり、柔らかな表現が試みられていた。
特に大賞の作品は、見ているだけで「柔らかい」。本当に素晴らしい作品だ。
ジョエル・フィリップ・マイヤー氏
ジョエル・フィリップ・マイヤー(ガラス造形家・アメリカ)

武田 厚
さまざまな意見が出たが、第1次審査と本審査の両方に携わった立場として考えてみる。
マイヤーさんの「若い人たちばかりだったのか、力のあるベテランが出さなかったのか」という疑問に答えると、力のあるベテランは出さなかったかもしれないし、出ていても若い人たちの「存在しているだけで、インパクトの強い、感動を与えてくれる」作品を前に圧倒されたと言ってもよい。確実に、世代交代を感じる。
自分をどんどん変えていこうというエネルギーは若い人だけのものかもしれない。そうした若いエネルギーとベテランの経験の積み重ねがぶつかりあうのを見るのも「公募展」の魅力かもしれない。
今回、痛切に感じたことは「若い人が、がむしゃらに、作りたいものを作りたい」という姿勢が、ガラスに限らず創作の可能性を広げていくことだと思う。
そして大賞が、伝統を大切にする金沢の人であったこともまた興味深く、さらに海外の審査員に絶賛されたことが、ここ金沢の創作の幅の広がりというか懐の広さを感じる。
石川に「ガラスを通じた国際交流と産業の高度化」そして「ガラスという新しい工芸を育てよう」と本展がスタートして20年。
石川に限らず、富山、福井に若い人が集まり、育っている。本展の役割は「世界のグラスシーン」を展望するという国際貢献と、地域のガラス工芸の育成という役割を併せ持つ。その役割は計り知れない。
本展のますますのご発展を期待している。
武田 厚氏
武田 厚(美術評論家)

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