講評会
審査員特別賞受賞作品について(1/2)
武田 ───── ありがとうございます。最後に 5 名の審査員による審査員特別賞について、それぞれの審査員が選んだ作品に対するコメントを短くお願いしたいと思います。
まず、ラーセンさんが選んだ作品は、チェコのパヴェル・トルンカさんの作品です。この作品のサイズは直径 27 cmです。
ラーセン ───── この作品の作者はパヴェル・トルンカさんで、チェコの出身です。とても素晴らしい、価値の高い作品です。この作品こそ、チェコのガラス作りの高いアート性と文化性を代表していると思います。
チェコは何百年もの間、素晴らしいガラスアートを生み出してきました。そしてクラフトは今日まで生き残り、そのおかげでチェコの素晴らしい職人やそこで行われているワークショップや、匠の技を持つ職人たちのプロジェクトを求めて、今も多くのガラス作家たちがチェコにやって来ます。
皆さんにはぜひ本物を見て頂きたいのですが、そうすれば、もちろん今もチェコは素晴らしいガラス作家を生み出しているということが分かると思います。パヴェル・トルンカさんもその一人で、本当に驚くほど素晴らしいアート作品を作り上げており、現在はチェコにいらっしゃいます。
この作品のタイトルは「From “The Cosmic Touches” Cycles」です。型を使ったフュージング、カット、ペースト、エッチング、研磨などの技術を全て使って作られた球状のガラスで、その1か所に丸く赤い色がつけられており、これは赤い目なのか、それとも点なのか、何だろうと思わせる作品です。作品全体としては丸くて完璧な形をしており、この赤が魔法のように見えてきます。正面から見ると白く見える球ですが、自分が動いて見る方向を変えていくと、赤い色が見える瞬間があり、それが非常に面白いです。魔法のような作品です。
チェコのガラス芸術のクオリティの高さをもう一度、皆様に注目してほしかったのと、自分がこれを気に入ったことから、自分の審査員特別賞に選びました。
武田 ───── ありがとうございます。画像ではなかなか分かりにくいのですが、ご説明があったように、視点を変えていくと赤に変化します。今、見ている正面の裏側に赤い色ガラスの部分があって、それが光の透過で反対側から見ると真っ赤に見えるのです。実作品をぜひご覧頂ければと思います。
次の審査員特別賞はヤン・ゾリチャック賞です。ゾリチャックさんが選ばれた作品は、高さ 37 cm、幅 37 cm、一番長い部分が 57 cmという割合大きな作品です。ゾリチャックさん、お願いします。
ゾリチャック ───── まず、大きさ自体は生命を感じさせると思います。また、命を守るということ、冬が終わるのを待つことの心配や不安が感じられます。冬が終わったら新しい命が生まれ、明るい日々が再び始まります。形としてはさやのようなイメージで、つまり命を守るものです。それが開いて新しい命が生まれると、一番明るくて美しい日々が始まるのではないでしょうか。ありがとうございました。