日時 | 平成19年7月13日(金)10:00AM~12:00正午 |
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場所 | 石川県地場産業振興センター新館1階コンベンションホール |
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講師 | 武田 厚 了徳寺大学教授、美術評論家 イジィ・ハルツバ ガラス造形家(チェコ) ジョエル・フィリップ・マイヤー ガラス造形家(アメリカ) ヨーン・スコーウ・クリステンセン ガラス評論家(デンマーク) 横山 尚人 ガラス造形家 |
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司会 | 棒田 和夫 国際ガラス展・金沢開催委員会副委員長(財)石川県デザインセンター専務理事 |
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通訳 | 早川 芳子 会議通訳者 |
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(棒田) 皆さん、おはようございます。ただ今より
「国際ガラス展・金沢2007」
の特別座談会を開催致しま
す。私は国際ガラス展開催委員会副委員長で、
石川県
デザインセンター専務理事の棒田でございます。よろ
しくお願い致します。
本日は肩の凝らないざっくばらんな意見交換の場と
したいと思います。
なお、本日ご出席の審査員の皆様
方は世界でも著名な先生ばかりで、
一堂に会するこの
ような機会はあまりないと思いますので、
お話しをし
っかり聞いていただければ非常にうれしく思います。
それでは、審査員の先生方をご紹介致します。
美術評論家で了徳寺大学教授の武田厚さんです。
ガラス造形家の横山尚人さんです。
チェコからお見えのイジィ・ハルツバさんです。
デンマークのヨーン・スコーウ・クリステンセンさ
んです。
アメリカのジョエル・フィリップ・マイヤーさんで
す。
先生方には大変お忙しい中、また、遠い所から本当
にありがとうございます。また、昨日は大変素晴らし
い作品の中から
賞を決めるという大変大事な任務をお
務めいただきました。まことにありがとうございまし
た。
本日は、通訳は逐次通訳形式で、
早川芳子さんにお
願いしております。
(棒田) まず、最初に本展の概要および経過について
簡単にご説明致します。今回の出品状況としては、
35の国と地域から456点の応募がありました。4月25日
に、こちらの武田厚さん、
ガラス造形家で日本ガラス
工芸協会理事長の藤田潤さん、北海道立旭川美術館副
館長の水田順子さん、それから金沢卯辰山工芸工房館
長で石川県デザインセンター副理事長の小松喨一さん
の4人で画像による第1次の審査を
行ったところです。大
変厳しい審査となりましたが、世界20カ国74点の作品
が第1次審査を通過しました。
昨日の本審査には、第1次審査を通過した74点のうち
世界19カ国73点の作品が送られてまいりました。そし
て、昨日の本審査会で入賞作品を決定しました。大変
な力作ぞろいで本審査も大変厳しいものとなりました
が、大賞、金賞、さらに第10回展記念特別賞は、今こ
こにご覧いただいているとおりです。そのほかの審査
結果はお手元にお配りした入賞者名簿のとおりです。
では、ここからの進行は、本審査の審査委員長をお
務めいただきました武田厚さんにお願いしたいと思い
ます。武田さんには簡単にスライド審査のご報告を頂
き、それから入賞作品についてのコメントを先生方か
ら頂きまして、最後にそれぞれの先生方から審査を振
り返っての感想と新しい世代への期待やご意見を頂け
ればと思っております。
では、武田先生、よろしくお願い致します。
(武田) おはようございます。ただ今ご紹介いただき
ました武田です。
これから進行役をさせていただきま
す。限られた時間ですが、受賞作品についての解説、
そ
れから、それぞれの審査に当たっての感想、講評を審
査員の方々から頂戴しますが、
今日一番大事なのは、そ
の後で皆さんと質疑応答をすることで、これは審査員
の方々皆さんが大変楽しみにしておりますので、ぜひ
フランクに遠慮なく質問等を頂きたいと思います。よ
ろしくお願いします。
まず、4月にスライド審査を4名の審査員でやったの
ですが、それについて先に簡単に
申し上げます。審査
にはいろいろな方法があるのですが、今回もまた前回
と同じように、
まず最初に映像で、どんなレベルの作
品が応募されているかを把握するために
全作品を通し
て見ました。それでしばらく時間を置いてからもう一
度、見直しをし、それぞれの審査員の意見を重視して、
通過作品、ペンディング作品、通過が難しい作品とい
う3種類に分けてチェックしていきました。その結果、
1次審査通過と記された作品が当初予定の入選作数をか
なりオーバーしていましたので、第2次審査では一度通
過した作品も含めてあらためての再審査をかなり厳し
く行いました。特に映像だけではご承知のように作品
の全体像を正しくつかむには難しいものがありますし、
特にガラスの場合は光の扱いによって作品がずいぶん
変わって見えてしまうことがあります。したがってそ
れらが自然光の中に置かれたときにどういう状態なの
かということもある程度イメージできなくてはならな
いのです。審査員はそれぞれの過去の体験からイメー
ジした上で審査したわけです。また作品サイズの問題
もあります。大きさを見間違えると作品内容がぜんぜ
ん違ったものになったりします。サイズを厳格に事務
局より提示していただいて、なおかつ作品についての
作者のコメントも読みながら審査を進めました。
ペンディングとした作品についてももう一度見直し、
そこからさらに入選に値すると思われるものをそれぞ
れ審査員の意見を参考にピックアップ
し直しました。そ
の結果、70余点という当初予定の数字に近づけること
ができました。その間、朝から夕方遅くまで審査員相
互のディスカッションが非常に多くされました。4人の
審査員は、同じ作品に対してもそれぞれ価値観も違え
ば作品に対する評価の仕方も違っていますから、
調整
は容易ではありません。全員がイエスと答える絶対的
な作品などそうあるわけではなく、意見が違っている
のは当たり前なので、それをそれぞれの推薦する委員
の主張によって理解し、納得し、最終的に入選のもの、
あるいは入選できないものを振り分けさせていただい
たという結果です。しかし、昨日、その入選の実作品
全体を会場で初めて見まして、本当に幸いに、思いの
ほかスライド審査の時のイメージと違わない良い内容
となっていると感じ、ひそかに喜んでいました。それ
以上にうれしかったのは、他の審査員の皆さんから、前
回の時よりもかなりレベルアップした内容で、素晴ら
しい作品が選ばれている、という意見を多くいただい
たことです。
次に、昨日の本審査についてもやはり触れておくべ
きかと思いますので、簡単に申し上げておきます。昨
日は全入選作品を前にして私ども審査員全員で審査し
ました。審査方法は前回と同じように事務局より提案
されたポイント制の方法で先ず始めました。
各審査員が、一枚10点ポイントの紙片を3枚、5点ポイ
ントの紙を5枚持って、選んだ作品の前にそれらを置き
ます。その場合に、賞の種類は、大賞1点、第10回展記
念特別賞1点、金賞1点、そして銀賞が複数、奨励賞が
複数となっているので、その一つ一つを順に選ぶより
も、最初にベスト3を選ぼうということになりました。
紙片のおかれた作品の評点を集計した結果、5点の作品
が最高点の25点をとっていました。そこでこの5点を対
象に大賞、記念賞、金賞というベスト3の賞を選ぶこと
になりました。各審査員はそれらの作品を前にして率
直に意見交換し、積極的な討議を繰り返しました。そ
してやっと賞の順位が決まり、ベスト3が選ばれたので
す。残念ながら25ポイントを取りながらベスト3から外
れた作品については、20ポイント、15ポイントの他の
作品ともに再評価をし、十分な話し合いのもとに銀賞
を4点、さらに奨励賞を6点選んだわけです。
特にそこで敢えて付け加えたいのですが、最高の
25ポイントを取った5作品はいずれも素晴らしい作品で
優劣付け難いというのが審査員各氏の率直な感想でし
た。つまり選考は伯仲していたということです。その
中の1点は、既にそれとやや類似した作品によってドイ
ツでの展覧会で非常に大きな賞を受賞していたという
ことが紹介され、規格内作品とするために対で出品さ
れた作品の片方一点だけを対象作品とした点などが話
題となり、結果、ベスト3からはあえて外しました。残
り4点の中からベスト3を選ぶ時、特に金賞をどれにす
るかという選定については本当に優劣付け難い状況と
なりました。今回金賞を受賞したトルンカさんの作品
と金賞争いをしたのが塚田さんの作品でありましたが、
惜しくも塚田さんは銀賞に回って、さらにそのほかの
3名の方の作品が同じく銀賞に並んだということです。
それから、最後に審査員特別賞というものがありま
す。この審査員特別賞はそれまで行った投票なりディ
スカッションなりとは全くかかわりなく、選ぶ基準も
各審査員に任されて、それぞれが選びましたので、こ
れもまた非常にユニークな選択になりました。ほかの
賞とは違って、総合評価ではなく、それぞれの個人が
その個人の思い入れ、評価の仕方をはっきり表す賞と
いうことで、非常に興味深い作品が5点選ばれています。
以上で18点の受賞作品が決まりました。審査する前、
審査方法について審査員同士の意見交換が盛んに行わ
れていましたので、先行き容易ならざるムードも感じ
ていましたが、実際に始めてみると、非常にスピード
が速く明快に進みました。最終的には意見の調整が必
要ですけれども、ほとんどの審査員の方はしっかりと
はっきりと自己の意見を主張されていました。こうい
う審査の方法は実にフェアであって、審査委員長の立
場としても大変ありがたいものでした。お陰で予定時
間より早く午後2時前に全受賞作品が決定しました。