THE INTERNATIONAL EXHIBITION OF GLASS KANAZAWA 2007

ROUND TABLE DISCUSSION 特別座談会

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質疑応答

(質問者1) まずは今回「国際ガラス展・金沢」の記 念すべき10回展ということで、おめでとうございます。
10回という節目だからこのような質問をさせていただ くわけではありませんが、
ちょうどお聞きするにはい いタイミングかと思いまして質問させていただきます。
国際ガラス展は1984年からですから、だいぶ長い歴 史があって、今も続いているコンペティションだと思 います。
一方、ガラスのコンペというものはだんだん 減ってきている印象があって、そこには当然主催者側 の
いろいろな理由があるのだと思います。応募する側 にしても、
かつてコンペティションは新人の登竜門と いう側面が強くあったように思うのですが、今の時代 を考えると、主催者側にとっても、
また応募する側に とっても、コンペというものの輪郭が従来よりも非常 にぼやけてきたような印象を個人的には持つのです。
そ のコンペティションの在り方、そしてこの「国際ガラ ス展・金沢」の将来的な在り方といいますか、こうな ったらいいな
というお考えが先生方にあればお聞きし たいと思います。よろしくお願いします。

(武田) 今の質問には、主催している石川県デザイン センターがお答えすればいいのですか。
内容的に、審 査員の先生たちがお答えするのは難しいかと思います が。

(質問者1) 審査員の先生方も多分そのようなことに はかかわられていると思いますし、この国際ガラス展 のことに限ってでも
結構だと思いますので、今後こう いうふうになったらいいなというお考えがあれば。

(武田) これからのことですね。どなたかご指定はあ りますか。

(質問者1) どなたかというよりは、もしご意見があ る先生方がいらっしゃれば、積極的にお伺いしたいと 思います。

(武田) 分かりました。では、審査員の先生方からお 願いします。ご意見がもしあれば、この金沢のコンペ ティションが今後どういうふうに
なっていったらいい か、期待とか希望とか要望とか。

(ハルツバ) 若い作家さんのみでコンペティションを することはもちろん可能ですが、この金沢で10回行わ れてきた国際ガラス展は年齢制限をしませんでした。そ のために、今日のような素晴らしい作品を応募してく ださるような立派なコンペになってきたのだと私は思 います。

(武田) ありがとうございます。ほかにいかがでしょ うか。クリステンセンさん、どうぞ。

(クリステンセン) 先ほどの目的やコンセプトがぼや けてきているのではないかということに対しては、私 もそう思います。
例えばこの30年で起きた変化として は、スタジオグラスの運動が本当に始まった創設期は、
世界で100人ぐらいの作家がスタジオグラスを一生懸命 やっていた時代だったので、その中から突出する人が 出てくるのも
簡単だったかもしれませんが、今は先ほ どお話ししたように何千人ものガラス作家が世界中で 活動しています。
そうすると、例えば若い才能あふれ るアーティストにとって、批評家が何を書くのか、ま た一般の人に受け入れられるには
どうしたらいいのかと いうことは、とても難しい悩みではないかと思います。
しかし、今日では昔なかったコンピューターという ものがあるので、それを通じて情報を得ることも発信 することもできます。
今、このガラス・シーンで何が 行われているかという情報を得ることもできるし、あ なたが何をしているのかを
発信することもできると思 います。また、世代間でいろいろなことを引き継ぐ、ま た受け渡していくこともできます。
そんな視点から見ると、この金沢国際ガラス展は、世 界中で今行われている数少ない幾つかの
素晴らしいコ ンペの中の一つといえると思います。またデンマーク で若いアーティスト向けのコンペもあります。
いろん な可能性をみつけてください。

(武田) ありがとうございます。では、ハルツバさん。

(ハルツバ) もう一つ、全く別のコンペをご紹介した いのですが、黄金崎クリスタルパークというところで 開催している
トリエンナーレの公募のあるコンペで、 1年前にも開かれたものです。これには六つの賞のうち 五つの賞が
25才から30才の女性に、残りの一つの賞が 40才代の男性に与えられました。とってもよいことだ と思います。
黄金崎出身の若い作家たちは今日もこの コンペで成功しています。

(武田) では、マイヤーさん、どうぞ。

(マイヤー) 今おっしゃった、コンペの目的やコンセ プトがだんだんぼやけてきているように感じるという ことですが、
そのためにご自身はそういったコンペに は出したくないと思っておられますか。

(質問者1) 私自身はそういうふうには決して思って いません

(マイヤー) 今、賞を取った作品が三つ並んでいるの ですが、これを見ていただくと、一つひとつは、
全く 機能的なものではありません。そんな中で、先ほどク リステンセンさんが自分の賞として
日本的な感性に支 えられた日々使えるガラスの小箱を選んでくださった ことに対して、
私は非常にうれしく思います。混乱は スカルプチャーを作らなくてはと思いこむ所にあるの ではないでしょうか。
作品がすばらしく、認められれ ば問題はないでしょう。

(武田) よろしいですか。 ほかにもご質問があれば頂きたいのですが、いかが でしょうか。

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