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開催概要  Prospectus

写真 写真 [クリステンセン] 銀賞を取った鍋田尚男さんの作品は、日本の現代ガラス作品の一つですが、スカンジナビアで見られる作品などとそれほど違ってはおらず、日本独特なものというわけではないと思います。
ヨーロッパやアメリカのスタジオガラスの作家たちと似ていると思いますが、この鍋田さんは奥さまと二人で小さなワークショップを持っていて、スタジオガラスの作品を長年二人で作り上げてきています。奥さまは美術学校を出たという方ではないのですが、ずっと手伝っています。私はお二人が働いているところを見たことがあります。スタジオガラスは40年の歴史があり、小さなワークショップでひとりで作品を作り、個展をしながら、だんだん職人やアシスタントを使うようなワークショップに発展していきました。しかし、小さなワークショップでは、最初からすべてのものを作るのは難しく、途中でガラスメーカーでしか作れないような色づけなどの作業は、メーカーへガラスを持って行って作業をさせてもらったのです。
この作品になぜ私が惹かれたかというと、この作品は日本のテキスタイルの影響を非常に受けているからです。鍋田さんのワークショップは、本州の北の方にあって、とても景色が良く、小さなギャラリーも持っていて、そこに人々が訪れ、美しい自然と、彼の作品を見ることができます。このような小さなスタジオガラスのワークショップはヨーロッパではよく見られますが、日本では珍しいのでしょうね。

[武田] 銀賞は4点ありますが、3点目の銀賞は、日本の田原早穂子さんの「線の夢」です。横山さんにお願いします。

写真 写真 [横山] 僕も作り手なもので、他の人の作品を見るということは、自分に跳ね返ってくることなのです。だから、自分自身を審査するような緊張の中でやっていますが、審査というのは、自分の考えを確立することを余儀なくされるということでもあります。人は人を見るとき、顔形、容姿やその言動で総合的にその人を判断します。その人の全人格を判断する。この年になると、人をぱっと見たときに何となく大体分かるようになるものなのですが、僕は作品を見るときも同じように、フォルム、色、デザイン、技術、完成度、独創性などを総合的に見ています。審査するときは、その作品にただひたすら相対して見ます。前もってデータなどは一切見ないし、ものを見るときは、そういう書き物などは一切目に入りません。その作品だけに集中して見ます。それで、ぱっと見て心に響くものがあるものを僕は取り上げています。その後で、その作品の良いところを自分なりにどう見るか、総合的に分析します。
この作品は、まさにぱっと見てぐっと来たという1点です。この作品の魅力は、このひょろひょろとした細い線で描かれているのですが、エッチングを思わせるような独特のドローイングです。このドローイングにも作家の感性なり美的なもの、造形力、すべてが入っていると思うのですが、そういうものが出ています。それが、ドローイングの面白さだと思います。この薄い黄色い色がまた良くて、線を非常に際立たせる、生き生きと線を踊らせるために非常に効果的なガラスの素材を使っています。これは、ガラスでないとできない作品だと思います。透明できれいな色の中に創作があふれている、そこが非常に良いと思いました。この人の感性や個性が表現されているというところが創作として素晴らしいと思い、銀賞に推しました。

[武田] 最後の銀賞は、エストニアから出品されたMare Saareさんの作品「SYNONYMS OF WAVE」です。ハルツバさん、お願いします。

写真 [ハルツバ] これはとても小さな作品で、もしかしたら見過ごしてしまうような作品なのだけれども、見ていると身が引き締まってくるような作品です。左右対称ではなくイレギュラーな形をしていますが、有機的なものを感じます。不完全な中に、完成度を見ることができます。この作品はポエムです。ガラスで作る俳句のようです。偶然にできてきた形というのも、私の興味を引いています。色はとても控えめで、ちょうど人間の肌のような温かみを感じて、手で触ってみたくなる作品です。また、「わび・さび」という美的感覚がこの作品にはあふれていると思います。優しさや親密さが表されています。しかもとても敏感な、感覚の鋭い女性の魂や心までも示している、そんな作品です。

写真 [武田] ハルツバさんはこのところ「わび・さび」にこだわっておりまして、私どもよりもずっと深い何かを持っているようで、勉強になります。
次は奨励賞に移りますが、奨励賞は6点選ばれました。最初は、同じくエストニアの作家で、Kristiina Uslarさんの「“+−”|2010」という作品です。世界のいろいろな国、日本よりももっと小さな国からの出品も多く、国際展としての興味深さが年々増してきて素晴らしいと思います。エストニアからもごく少数の応募があったのですが、第1次審査で2点選ばれて、2点とも受賞ということになりました。この作品については、クリステンセンさんにお願いいたします。

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