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開催概要  Prospectus

質疑応答

[武田] では、審査員の先生方がお揃いですので、どんなことでも自由にご質問していただきたいと思います。何かありませんか。

[質問者1] 富山ガラス造形研究所の学生です。造形科を卒業し、今は研究科に所属しています。今回の「国際ガラス展・金沢」には世界からいろいろな作品が来たと思いますが、今のガラスの雰囲気や全体の流れはどういう感じなのか、それが見えたら教えてください。

[ハルツバ] どんなトレンドがあるかということは、私も知りたいところです。例えばドイツでは5年ごとに主要なガラスアート展 “ドクメンタ” が開かれていて、その都度、いろいろな人がその展覧会を企画しています。ですから、どんな傾向にあるのか、みんな知りたがっているのです。なぜなら、そこにお金が絡んでくるからです。どんな作品が売れやすいのかというのは、ガラスの作品を作って、それを売って生計を立てている人にとっては大きな興味の対象です。ただ、私はある傾向というようなものはないと思うのです。傾向ではなく、何かバイブレーションのような、波長のようなものが繋がっていくような気がしています。それはそれぞれのアーティストのエネルギーのようなもので、傾向というものは、世界にはありません。
1950年代や60年代、芸術家の人は「今は何でも可能だ。一体何をどうすればいいんだ」と文句を言っていました。しかし今は、自分が好きなことを責任持ってできる時代になっていると思います。インスピレーションというのは、過去のさまざまなものからも得られますし、世界中の情報があふれている中からもインスピレーションを得ることができると思います。そういう恵まれた時代と言えば時代です。19世紀や20世紀には、例えばアールヌーボーやプレモダンやポストモダニズムといったスタイルがありました。それは後の人が名前を付けて、思い出してカテゴライズしているだけであって、今、皆さんがやっていること、21世紀にやっていることは、あと何年もたったときに後の人々が、「21世紀にはあんなことをしていた」というふうに、何か美しい名前が付くのではないか。今はそういう時代だと思います。

[クリステンセン] ハルツバさんの意見に同意します。現代ガラスというのは個性を非常に大切にしています。昔の教育では、「こんなふうにしなさい」「あんなふうにしなさい」と教えたかもしれませんが、今、若いアーティストたちは無理矢理、個性的になるように言われているようです。インスピレーションというのがとても大事なのですが、今の時代から過去を振り返って、例えば50年前や80年前にどんなことが行われていたか思い返し、同時にそれにとらわれずに先へ進むということが大切だと思います。世界のさまざまなトレンドがあるのかもしれませんが、そういうものを気にせずに、日本人のアーティストらしさ、あるいはあなたらしさを大事にしながら作家活動を続けていくことが大事だと思います。

[武田] 例えば、アメリカのスタジオガラスの状況はどうなのでしょうか。カールソンさんにお話を伺いたいと思います。

[カールソン] 非常に良い質問だと思います。もし私たちが、正式なガラスアートの教育を受けたアーティストだとしたら、これまでにたくさんのアート作品を見てきているでしょうし、情報も十分得ていると思います。そのため、これまでの自分たちの創作活動の位置も理解しているので、その経験が、私たちを今後進むべき方向へと導いてくれると思います。そして私たちが今後違う何かを期待されるとしたら、ガラスという素材と自分たちのコンセプトに基づいたクリエイティブな創作家であるということではないでしょうか。 アメリカにおいても、ガラス作家は若い人もベテランも、みんなガラスの方向性を見極めるのに自分の軸足をどこに置いたらいいかということで悩んでいます。以前よりは受け入れてくれるところは多い。またガラスの認知度は高く、チャンスはたくさんあるのだけれど、悩んでいるわけです。ガラスには、二つの大きなグループがあり、それぞれが競争をしています。一つは探求しつつ概念芸術の方向にむかうグループ、もう一つは、フォーマルで歴史的にガラスを解釈してオブジェを作るグループ。2つのグループはどちらもしっかりしていて、志願者もちゃんといます。私の希望として、2つのグループの競争は続けてほしくないのです。対立しているわけではないのですから。21世紀をガラスの世界へ導く余裕があります。自分の軸足を、一方では心を慰められない歴史的なものに置き、他方ではまだ想像もつかない未来へ向けたものに置きながら。

[横山] いろいろな動きをとにかく知るということは、必要だと思います。しかし、少し矛盾していますが、見ることは見ても気にしない、人の言うことにもそんなに左右されないでやった方がいいと思います。僕は若いころ非常にそれを気にしていたので、気づくのが遅かったです。

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