Discussion
講評会

質疑応答(2)

審査風景   

武田 ───── ラーセンさん、デンマークのガラスシーンで今、何か問題はありますか。

 

ラーセン ───── デンマークは経済危機の打撃を受けています。経済的危機は世界中の問題かもしれません。そのため、さまざまな事柄が困難になっています。特にデンマークでは、デザイナークラフトスクールは国から以前ほどの支援を受けていません。カールソンさんが話した傾向についても、デンマークでも同じことが言えます。ガラス、セラミック、テキスタイルなどの工芸部門の教育は理論的になってきています。ですから、今日、別の努力が自分たちのやっていることを説明するのに必要になっています。例えば、興味深い哲学的なポジションを始めたり、また素材そのものから注意をそらせたりしています。これは一般的な傾向だと思います。しかし、いまだにクラフトもクラフト教育もデンマークには存在しています。興味深い新しいものが生まれています。ですから、差し迫った感じはありません。しかし、デンマークはアメリカほど裕福ではありません。私たちの可能性はあります。そして教育方針の中に国際的な視野が入ってきています。その点でとても良い機会だと思います。

 

武田 ───── 今、お話を伺っていて聞きたいことが出てきたという方はいらっしゃいませんか。

 

質問者2 ───── こういう国際的なガラス作品のコンペは、現在、他の国でもあるのでしょうか。もしあるとしたら、どんなところでどんな活動が行われているのか教えてください。

 

カールソン ───── 「国際ガラス展・金沢」は、とてもユニークだと思います。過去30年から40年、他のタイプのコンペティションがありました。それは、ヨーロッパやアメリカを基本として国際的なコンペでした。しかし、日本はこのような国際展を開催するリーダー的存在でした。その始まりは80年代の「The World Glass Now in Hokkaido」で、それが「国際ガラス展・金沢」につながっています。他にもコンペはあったでしょうが、おぼえていません。各団体、地方自治体、スポンサーを巻き込んで開催される国際ガラス展金沢は、大飛躍と言えるでしょう。もし、そのような国際的なコミュニティを持っているとしたら、このようなプログラムを支援することは極めて必要です。しかし残念ながら、他に例がありません。

 

ラーセン ───── 「国際ガラス展・金沢」のような世界的なものではありませんが、デンマークには2年に一度コンテストがあります。しかしヨーロッパの作家に向けたものです。今私が考えているのは、このコンテストに他の国の作家を招待できないかということです。このコンペは、これまでに何度か開かれ、とてもうまく運営されています。ですから、カールソンさんがおっしゃったように、何ができるか試してみたいと思います。この「国際ガラス展・金沢」は、非常にユニークでとても大切です。

 

武田 ───── ありがとうございます。先ほどから審査員の皆さんがおっしゃっているように、この国際展に応募してこられる方々の国は、本当に我々とは、特に日本人の場合には行ったことも見たこともないような国からもたくさん応募されています。つまり、それだけ地球の隅々まで、ガラスというものに関心を持って何かを表現したいという人たちがたくさんいらっしゃるということです。これはガラスという文化を通して、将来の我々人類のためにも、大げさに言えば非常に意義の深いものになっていく、そのメディア、媒体として活用し、日本のガラス作家の方々も知らないところの方々とのコミュニケーションを広げていくという積極的な姿勢を我々はぜひ希望したいと思います。

 長くなってしまいましたが、これで私どもの仕事を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました(拍手)。

 

閉 会

荒川 ───── 審査員の先生方、本当に本日は大変貴重なご意見やアドバイス等々たくさんいただきまして、ありがとうございました。また、本日ご参加いただきました皆様も、長時間でしたが最後までご清聴いただき、ありがとうございます。

 国際ガラス展・金沢2013は、来る10月23日から11月4日まで13日間、従前以上に長く期間を取りまして石川県政記念しいのき迎賓館および金沢21世紀美術館において開催したいと思っています。今回の入賞・入選作品と、デザインセンターでコレクションしている過去の国際ガラス展・金沢の入賞・入選作品から何点か選定し、展示したいと計画しています。また、11月30日からは翌年1月26日にかけて能登島ガラス美術館において巡回展の開催も予定しています。本日お集まりの皆様はもちろん、多数の方のご来場を期待しております。

 長時間にわたり講評会を続けてきましたが、これをもちまして国際ガラス展・金沢2013の審査結果発表・講評会を閉会いたします。最後になりますが、審査員を務めていただきました4名の先生方にあらためて盛大な拍手をお願いいたします(拍手)。

 どうもありがとうございます。以上をもちまして閉会いたします。

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