Discussion
講評会

審査経過の報告

武田 厚
ウィリアム・ダグラス・カールソン
ボーディル・ブスク・ラーセン
横山 尚人

武田 ───── 初めに、この4月に行われた画像による審査と、昨日行われた実作を前にして賞を選ぶ審査について、ごく簡単に感想等を述べておきます。
 最初のスライド審査の応募作品数は332でした。これは前回に比べると決して多くないというか、むしろ少なくなっています。応募してきた国はそんなに変わらないのですが、作家の数が減った理由については、まだ細かい分析がされていません。時代の動向もありますし、日本で開催される賞に世界から応募してくることに関する財政的な問題など、いろいろな事情があろうかと思いますが、いずれ分析結果を踏まえて主催者・事務局側が新たに対応策をしっかりと考え、時代がどう変わろうと、多くの方々がこの展覧会に関心を持って応募してくるための方法を見つけてくださると思っています。
 スライド審査は332点の画像を対象に行いましたが、内容的に非常に充実していました。つまり、数ではなく質という点では、十分この国際展にふさわしい内容のものが応募されてきたと思います。画像による審査は、実作を目の前にするのとは違って、画像からどのように推測・憶測しながら判断していくかという大変難しい審査で、いつも戸惑うことがたくさんあるのですが、今回もそういう難しさを乗り越えて、審査員の方々の活発な意見をもとに、長時間かけて練りながら選んできたつもりです。最終的には70点が選ばれましたが、その後、若干のトラブルがあり、68点が賞の審査対象となりました。
 昨日、我々4人による賞の審査が行われたのですが、その会場に入った瞬間に、それぞれの各委員はどの作 品が最終選考の賞候補に上っていくかという直感をお持ちになったようです。各審査委員はそれぞれ立場が違います。カールソンさんはご承知のように著名なガラス作家、巨匠でして、アメリカからいらしていただきました。デンマークからいらしているラーセンさんは今回初めてですが、ミュージアムキュレーターとして現在はデ ンマークのガラス美術館館長として非常に幅広くガラス界を見ている方です。そして、横山さんは日本のガラス作家であり、私は美術館のキュレーターの仕事をしています。そういう別々の立場からそれぞれの作品を見せてもらい、率直な意見交換をしました。
 こういう審査で一番大事なことは、思い残すことなく自分の意見を述べ、その意見を他の審査員がしっかりと受け止めることです。これが非常に基本的なことです。それを何とか昨日は時間をかけてできたように思います。その結果、グランプリの作品と、第2席である金賞の作品、現在はこの2点だけが皆様の前に並んでいますが、特にグランプリの作品は立体でどこから見てもいいというわけではないので、恐らく皆様の座られた位置から、それぞれ違った角度から見ておられることになるので、画像で見ると、多分座られた場所とは違う視覚で見ることができると思います。
 この2点の他にも、素晴らしい作品が選ばれました。これについて順番に、1点につき1人または2人に講評していただきながら、審査に関する感想等も交えて話していただくことになります。賞審査の進行具合で今回一番顕著だったことは、第1回の投票で4点の作品が断トツで審査員の評価を得たということです。現在2点しか並んでいませんが、講評の中でそのことがきっと説明されるだろうと思います。無論、その他の受賞作品も非常にレベルの高い作品になっています。日本からの応募作品と入選作品が多いだけに、結果的に日本の作家の作品が比較的多く入賞しました。それは数だけの問題ではなく、カールソンさん、ラーセンさんも率直に、 日本から応募された、あるいは入選した日本の作家の作品のオリジナリティーとクオリティーの高さに非常に感銘を受けたとおっしゃってくださったので、それも合わせて素晴らしい講評をこれからお願いしたいと思います。
 なお、先ほどの審査員の紹介があったときに、本来であれば前回に引き続いてチェコからエングレービングの巨匠であるハルツバさんをお招きしていたのですが、来日の直前になって体調を崩され、涙ながらに来日をあきらめたという連絡が数日前に入りました。非常に残念ですし、また、心配ではあるのですが、彼からもこの審査、このシンポジウムが素晴らしい結果を残されるように祈っている、期待しているというメッセージも受けていたようです。それをお伝えして、今日はこれから4人で講評会に入ります。前置きが少し長くなりましたが、早速これから進めさせていただきます。

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